緊急性が高い下痢の症状
- 血が混ざった便が出る
- 同じものを食べた複数人が発症
- これまでにない激しい下痢
- 排便をしたのに激しい腹痛が治らない
- 下痢だけでなく発熱や頭痛、吐き気などがある
- 時間が経てば経つほど症状が悪化する
- 尿が少なかったり口の中が異常に乾いていたりといった脱水状態が起こる
激しい下痢がずっと続くと、脱水状態になることがあります。下痢がいつくるか分からない、腹痛が続いている、不安で外出ができないなど、日常生活に支障が出ている場合には、早めに消化器内科を受診するようにしてください。
特に他の症状もある方や下痢症状が1週間以上続いても改善されないといった場合には、できるだけ早く診察を受けましょう。
下痢で受診するときは以下をチェックしましょう
- 下痢が始まった日時
- 腹痛はあるのか、どの程度どのあたりが痛むのか
- どの程度の頻度で排便するのか
- 便はどのような状態なのか
- 下痢以外に発熱や嘔吐などの症状があるか
下痢の種類
急性下痢
浸透圧性下痢
浸透圧性下痢は、アルコールの過剰摂取や脂肪の多い食事の取り過ぎなどといった、食生活によって引き起こされます。食べ過ぎや飲み過ぎなどは腸に大きな負担をかけ、吸収力を弱めてしまいます。
そのため、便に水分が増え過ぎて、下痢症状を引き起こす要因になります。
分泌性下痢
分泌性下痢の主な原因は、食中毒や食あたりです。腸粘膜に障害が起こることによって発症するもので、アレルギーやお薬に影響によってもなる可能性があります。
下痢のときの注意点
下痢になった場合は、悪化を避けるためにも以下のようなポイントに注意しましょう。
水分・電解質をしっかり補給する
下痢症状がある場合には、脱水状態になることも考えられるため、水分・電解質を十分に補給することが重要になります。主にスポーツ飲料がお勧めで、牛乳などの脂肪分が多い飲料は腸管を刺激しやすいため止めておきましょう。
下痢止め薬はリスクが高いため要注意
食中毒による下痢の疑いがある場合には、市販の下痢止めはリスクが高いため、止めておくほうが良いでしょう。安易に下痢を止めてしまって有害な菌が下痢によって体外に排出されなくなってしまうと、状態が悪化してしまう可能性も考えられるからです。
食中毒や感染性の下痢が考えられる場合には、早急に医療機関を受診することが回復への近道です。
下痢が長く続く場合は必ず医療機関に受診を
下痢症状が慢性的に続いている、といった場合には、他の危険な疾患が原因とも考えられるため、早めに当院まで受診して検査をすることをお勧めします。
胃腸に優しい食事にしましょう
食事は胃腸に優しく、消化の良いものを選択する必要があります。また、消化に良いだけではなく、おかゆやうどんなど長く煮込んで柔らかくしたものが良いでしょう。味付けが濃くなると胃腸へ負担がかかってしまうため、薄味にして刺激のある食品は避けましょう。柑橘系は腸管に刺激を与えてしまうので摂らないようにしましょう。
脂っこい食事、刺激の強い嗜好品は避けましょう
脂質や糖分が含まれてしまうと、胃腸へ負担になります。特に、お菓子などは腸への負担が大きいため、お腹の調子が良くなるまでは避けるようにしましょう。生野菜や食物繊維を多く含む食品は、下痢症状があるときには腸の動きを活発にしてより悪化してしまう可能性も考えられるため控えてください。
また飲酒や香辛料のきいた料理も止めてください。
下痢の原因となる疾患
感染性胃腸炎
ノロウイルスなどに代表される染性胃腸炎は、激しい下痢と嘔吐を伴います。下痢止めや吐き気止めといったお薬を患者様ご自身の判断で服用してしまうと、症状を悪化させる可能性があります。
市販薬を服用するのではなく、必ず医療機関を受診するようにしてください。
炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)
炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)は、下痢だけでなく血便も併発します。
また、便が出てもスッキリしない、軽い発熱があるなどといった症状も見られます。長期で放置しておくことによって大腸がんのリスクが高くなるため、早めに内視鏡検査を受けることをお勧めします。
虚血性腸炎
虚血性腸炎は、お腹が痛くなるだけでなく、下痢や血便の症状も見られます。大腸にある血管の血流に問題が生じる疾患であり、必要な栄養を送ることができなくなってしまいます。大腸の粘膜に障害が起きるため、粘膜のただれや炎症、潰瘍などができます。
慢性膵炎
慢性膵炎は、下痢だけでなく体重減少などの症状が起こり、進行すると他の症状も出てくる場合があります。膵臓からの消化酵素の分泌が少なくなってしまうことによって、消化がうまくできなくなってしまいます。
脂肪分の消化を担当している臓器であるため、うまく消化できなくなると便に脂肪の白色が混じる場合があります。
下痢の検査
大腸カメラ検査
下痢が続く場合は、大腸の疾患が疑われるため、大腸カメラによる検査が行われます。当院では、内視鏡専門医の医師が検査を担当し、患者様になるべく苦痛のないように検査を行いますので安心してご相談ください。
鎮静剤などの使用もできるため、ご希望がある方はご相談ください。
腹部超音波検査
慢性的な下痢症状は消化器系の病気の可能性があります。そのため腹部超音波検査で膵臓、胆のう、肝臓、腎臓の病気がないかを調べることが大切です。
血液検査
胃腸に炎症がある場合は、血液検査によって調べることができます。
下痢の治療
下痢を治療する場合には、無理に下痢止めで止めてしまうのではなく、食事指導、輸液治療がお勧めです。ただし、急性下痢と慢性下痢で治療の順番や内容などが違ってくるため、医師の指示に従いましょう。
急性下痢の場合
急性下痢の場合は、脱水防止のための水分補給が重要です。補水液や輸液加療を中心的にすることが大切ですが、下痢の原因によっては投与する薬剤が違ってきます。抗菌剤や整腸剤などを投与し、何日かかけて下痢の回数を減らしていくことが大切です。
冷たい飲み物は避けるようにし、柔らかく煮込んだ消化の良い食事を摂ることで、胃腸を休めることができます。段階的に食事をコントロールしましょう。
慢性下痢の場合
慢性下痢の場合は、食事の改善が重要です。消化が良く、なおかつ栄養価が高い食品を選ぶことが重要で、柔らかく煮込んで食べるようにしましょう。香辛料などは刺激が強いため、止めておきましょう。
また、牛乳も控えてください。タンパク質は、鶏のささみや白身魚などがお勧めです。また、納豆や卵も栄養価が高く消化に良いため、摂取すると良いでしょう。りんごやバナナを食べると良く、主食は柔らかめのご飯やうどんがお勧めです。また、他の疾患で内服中のお薬がある場合、お薬の減量や休薬、調整が必要になることがありますので、担当の医師にご相談ください。
消化器疾患の手術後の下痢は脱水を起こす可能性が高いため、状態を確認しつつ、内服薬にて排便状態をコントロールします。