お腹の張りについて
膨満感とは、いわゆるお腹が張っている状態のことです。腸内細菌には悪玉菌と善玉菌がいますが、悪玉菌が多くなってしまうと腸内でガスが発生し、膨満感を引き起こす場合があります。その他、空気を飲み込んでしまうことで膨満感を感じる場合もあり、代表的な疾患としては呑気症が考えられます。
膨満感の症状としては、おならが出る回数が増える、お腹が張っているため苦しさを感じる、下腹部がポッコリしているなど様々です。
おなかの張りの原因
便秘
便秘が原因で、お腹が張っていると感じる場合もあります。便秘は、3日以上まったく便が出ていない、毎日出ていても少量のみでコロコロした硬い便が出るなどの状態です。腸管の蠕動運動機能の低下が考えられ、便やガスが腸内に溜まってしまうことによって、お腹が張ったように感じます。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群になると、便秘や下痢を繰り返すなどといった症状が慢性的に続きます。ストレスなどが原因とされていて、排便があれば腹痛などの症状が緩和されます。便秘型の過敏性腸症候群は、特にお腹が張ってしまう感覚に襲われます。
呑気症
呑気症は空気嚥下症とも呼ばれていて、必要以上の空気を吸ってしまうことで発症します。現在、日本人の8人に1人が発症していると言われており、飲み込んだ空気によってお腹の張りやげっぷが出てしまいます。
大腸がん
大腸がんは、早期発見が重要な疾患ではあるものの、発症した初期には自覚できる症状がほとんどありません。しかし、大腸がんが進行してしまうと便やガスが排出しにくくなってしまい、お腹が張ってきたように感じられます。
また、腸の機能が衰えてしまって便が通過しにくくなるため、便秘が急に進行してしまう可能性もあります。
腹水
腹水とは、お腹の中に水分が溜まってしまい、お腹に張りが感じられる症状です。主な原因は、腹膜などによって生じる場合と、心不全、肝硬変、腎不全といった疾患によって生じる場合があります。前者のケースでは、お腹の中で炎症が起こってしまうことで、血管内の成分が漏れてきてしまうため、腹水にはタンパク質が含まれています。
後者のケースでは、血管内の水分が漏れ出たことによるもののため、タンパク成分が少なめです。
腸閉塞
腸管で内容物が詰まってしまって、肛門へと移動できなくなってしまう状態のことを腸閉塞と呼びます。
原因は多岐にわたるため、特定は難しい場合もあります。
主な症状としては、お腹の張りだけでなく、腹痛や便秘、吐き気、嘔吐感などがあります。また、稀に手術が必要な場合もあります。腸の癒着のために腸閉塞になる場合は小腸を拡張することによって腸液が溜まってきます。
腹腔内腫瘍
腹腔内腫瘍は、お腹の中に腫瘍ができてしまい、腫瘍が大きくなるにつれてお腹の張りを感じる場合もあります。臓器がたくさんある腹部では、腫瘍が発生しやすくなっています。確定診断のためには超音波検査や血液検査、CT検査、MRI検査などを行います。
原因ごとのお腹の張りの検査・治療
便秘・過敏性腸症候群の治療
吞気症の治療
呑気症の場合は特効薬などがありませんが、空気を飲み込んでしまうことを自覚できれば、飲み込まないようにすることである程度改善されます。また、食事中にゆっくりよく噛んで食べる癖を付けることでも改善ができます。その他、ストレスの解消も重要ですが、炭酸飲料やアルコール飲料を控えると、より呑気症の症状が良くなるため、症状が重い場合は試してみてください。
薬物療法も可能で、軽度の場合は胃の中の泡を取り除くお薬を使用します。その他、消化酵素薬や消化管機能改善薬なども効果が実証されています。また、疲労やストレスによって呑気症が起こる場合には、漢方薬などもお勧めする場合があります。
抗不安薬や抗うつ薬は、心療内科などに受診して頂いた上で、内服の必要性を相談して頂くことを推奨しています。